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講師コラム

「損益思考」から「ファイナンス思考」にアップデートしよう(講師 濱尾功二郎)2022/09/07

■■■ KBP講師のお役立ちコラム(講師:月替)  ■■■
~KBP講師が人事担当者様・ビジネスパーソンの方々へ役立つヒントをお伝えします~
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「今期は減益になりそうだから、広告宣伝費などの販売投資を削ろう」
「わが社は無借金経営だから健全です」
「黒字だから大丈夫」

みなさんは、こんな言葉を耳にしたことはないでしょうか?

この言葉には、次のような見方が特に抜けています。

・長期的目線で必要な投資をして企業価値を最大化するという評価軸
・事業単位でのリスクを把握しようとする発想(リスクに応じた資金調達)
・事業は調達している資金のコスト以上の利益を実現しなければならないという認識
 
私は会計やファイナンス、戦略やマーケティングの研修を実施していますが、ビジネスパーソンの「会計」の基礎的な知識における理解は、多少バラツキは見られるものの深まってきたように感じます。ビジネスにおける「会計」の重要性を否定する人はいないでしょう。

その一方で「ファイナンス的なものの見方や考え方」については、重要性を十分に認識されていないように思います。もし、冒頭に挙げた言葉がみなさんの周囲にあふれているとしたら、組織が「損益思考」に陥っているかもしれません。

ここでいう「損益思考」は、「損益計算書上の売上や利益といった数値を短期的に最大化することを目的とする思考」といえます。
一方、「ファイナンス思考」は、「企業価値を最大化するために長期的な目線に立って事業戦略や財務戦略を総合的に組み立てる思考」といえます。

「数字なき物語も、物語なき数字も意味はない」(御手洗富士夫氏)というセリフは本質をついた言葉で私自身も大事にしている言葉のひとつです。
「ファイナンスで物事を考える」ということは、将来の投資に対するリターンがでるかどうかだけでなく(物語なき数字)、将来のビジョン・目標を達成するためのストーリー(戦略)を描き、それに沿った投資であるかどうか
そのうえでのリターンやリスクを考慮したオプションを検討するといった「物語にそった数字」を考えるということです。
定量面と定性面を往復運動して意思決定していく面白さがあります。

社会が成熟化し直線的成長が望めない、技術革新のスピードが速く既存のビジネスが急速に陳腐化しかねない不確実な事業環境において、それを切り拓く思考は「ファイナンス思考」と私は考えています。

世界の時価総額ランキングの上位を占めるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(頭文字をとってGAFAと呼ばれる)のIT4社に共通するのは、短期的には損益計算書上の数値に悪影響が出る意思決定をし、将来の成長に向けて果敢に大きな投資をしている点です。

企業年金実態調査によると、最大40%弱あった日本企業への投資比率は10%程度に縮小しました。日本の企業年金が日本企業への投資を敬遠し日本企業への成長期待が乏しいといえます。

未来を支える新事業を創出し成長するためには、既存の技術の磨き込みだけではままなりません。
ビジネスに対する考え方のOSを根本的に入れ替え、「損益思考」から「ファイナンス思考」にアップデートすることが必要だと考えますが、みなさんはいかがでしょうか?

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ファイナンスの基本とROICの向上
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https://www.kobelco-hrd.com/coursedetailbiz2022.php?22061