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対談で一番うれしかったこと

 先生との対談では、individuality と eachness ということが話題になりました。欧米人のなかに、日本人には個性がないという人たちがいます。
 英語で individuality は、これ以上分割できない原子で、これ以上分割できない「この私」というのが個人の定義です。
 日本の社会は関係性を大事にしていて、「てまえ」がといって自分のことを指したり、「おまえ」がといって相手のことを指したり、関西弁では「自分」といって相手を指したりします。
 そういう関係性のなかで成り立っているので、河合先生は eachness ということばを使って、日本人には個性がないのではなく、個性ということばで表していることの性質が違うのだ、とおっしゃった。
 河合先生は、このことを、日本にいて世界に通用するユンギアン(ユング派の研究者)として、発信しなければならない、とおっしゃられた。
 また、対談では紙数の関係で割愛されたのですが、創造性についても話題になりました。欧米の人から、日本人は真似はうまいけれど創造性がないといわれることについて、ご意見を伺った。
 「河合先生は、産業、経済、会社に関わることには、あまり興味をもたれないのですか」という私の質問に、先生はこのように答えてくださった。
 「一人ひとりの心の問題だけでもこんなに深みがあって、際限なく興味深いので、そういうの(産業や経営にまつわること)は、金井君たちがやればいい。だけど、日本人に創造性がないかのような議論をする欧米の人がいるので、日本には創造性が欠けるのではなく、日本人ならではの創造性がある。それを解明する一環として、経営者の創造性についての調査がありえるなら、興味がある」。
 私は、先生とビジネスの世界の創造性について共同研究ができたらと、嬉しくなりました。頭の片隅においておき、いつか実現したいと思っていたのですが、今では先生との共同研究ができなくなってしまったのは、まことに残念です。