● 誤解されているアメリカらしさ
(1)上下関係
日本の社会では、上下関係に神経を使っている。いっぽうアメリカでは、日本のような上下関係に対する意識は薄い。そのためか、日本には、アメリカのライフスタイルでは上下関係をいっさい無視しても許される、と思い込んでいる若者が多い。日本のように上下関係に神経を使わないといっても、無視とは違う。相手を傷つけることは絶対に避ける。ところが日本ではそんなことはお構いなしに、相手に傷がつこうが自分の思ったことをズバリ話すのが、アメリカらしいやり方だと決め込んでいる。これらは本来のアメリカらしいやり方ではない。
本当のアメリカらしいやり方は、利己主義や貪欲さを大目に見過ごさない。自分の行為、行動や言葉によって他人を傷つけるようなことは容赦しない。少なくとも自分の行動によって影響を受けた他人に対して必ず気遣いをする。
(2)意見の相違
違った意見をもつことはよい。むしろ、アメリカの文化では違った意見を歓迎し、奨励している。それによって、個人個人の力がさらに強力なものになると考えられているからだ。アメリカ文化のすばらしさの一端でもある。ところが日本では、意見の相違を相手の人格と直結させてしまうことが珍しくない。違った意見をもった人間の人格そのものまでも、感情的に抹殺してしまうことがある。
「あんな意見をもっているやつだとは思わなかった。あんなやつは嫌いだ。金輪際つきあうものか!」である。
アメリカ流でいえば、意見は意見、人格は人格として別物である。そして相手の違った意見に客観的に耳を傾け、相手の人格に対して尊敬の念を抱きながら、コミュニケーションをはかる。
ついでにコミュニケーションのスタイルについて一言しておこう。日本人は、相手の言っている内容を理解できないのは自分が至らないからだ、と思い込んでいる。自分が分からないことを相手に「聞き返したり、聞き正したり」するのを避ける。そんなことをするのは相手に失礼だという風潮もある。アメリカ人は理解できるまで聞き返すのが礼儀だと考える。理解していないのに聞き返さず分かった振りをしている方を失礼だと取る。アメリカ人とコミュニケーションをはかるときには、分かるまで質問することだ。
