講師コラム
「怒りの感情を上手に扱う」ということ(講師 大貫晋吾)2022/04/07
~KBP講師が人事担当者様・ビジネスパーソンの方々へ役立つヒントをお伝えします~
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アンガーマネジメントという言葉を、よく見聞きするようになりました。
それは私だけではないと思います。
「アンガー」は怒り、「マネジメント」は管理を意味し、「怒りの感情を自分で管理しながら、怒る必要がある時には上手に怒り、怒る必要がない時には怒らずに済ませる」という意味です。
決して「怒らない」あるいは「怒らなくなる」ことではありません。
怒りの感情は「警報ブザー」のようなものとも言われます。
この警報ブザーはヒトだけが持っているわけではありません。
イヌやネコでも腹を立てると唸り声を上げたり、爪を立てたりします。
そうした行動は、危機管理システムが作動して警報ブザーが鳴ったことを示しています。怒りは、動物が生存競争の中で生き残っていくための「危機管理システム」として搭載された警報ブザーなのです。
多くの場合、警報ブザーが作動するのは「自分の身が危険にさらされたとき」です。
自分と敵対する何者かに出くわしたり、誰かから侮辱されたり、危害を加えられそうになったりして、ストレス状態に陥った時に警報ブザーが作動、つまり「怒り」が湧き起こってくるのです。
ブザーが鳴ると、心身はその状況を回避しようとして、速やかに回避のための行動をとる態勢を整えます。
そこでとることができる行動は「戦闘」か「逃走」です。
どちらも平時とは異なる心身の状態をつくり行動に移さねばなりません。
心拍数や血流が上がり、アドレナリンやノルアドレナリンなどの攻撃性を高めるホルモンが分泌され、回避のための行動をとりやすい状態になるのです。
もし、怒りという警報ブザーが上手く作動しなかったらどうなるでしょう。
野生動物ならあっという間に他の猛獣の餌食になってしまいます。
われわれ人間社会においても、貶められ、虐げられるがままといった、悲痛な状況になりかねません。
警報ブザーが作動すること、すなわち「怒り」はわれわれにとって欠かせない感情なのです。
しかし、大脳を高度に発達させたわれわれ人間は、身の危険にさらされたときだけ怒るわけではありません。
他人が自分の価値観に反する行為をしたとき、自分の欲求がかなえられなかったとき、羨み・妬みなどが心の底にあるときなど。
不満、羨望、欲望、孤独、不安・・・人の怒りはこうしたいくつもの感情が複雑に絡まり合い、多様なシチュエーションの中で生じます。
それゆえに、適切ではない状況で怒ってしまったり、表に出せず内に溜め込んで悶々としたり、場合によっては、心身に変調をきたしたりすることもあるのです。
怒りの扱いには「怒りをどう抑えるか」と「どう怒るか」があります。
アンガーマネジメントはそのための有効なメソッドを提供してくれます。
そしてそれは、自分の中にある価値観や欲求、不安や妬みに向き合うことにもなります。
今一度、ご自身の「怒り」にじっくり向き合ってみませんか?
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