講師コラム
挑戦する職場のマネジメント(講師 金井一信)2022/05/11
~KBP講師が人事担当者様・ビジネスパーソンの方々へ役立つヒントをお伝えします~
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私は、今から37年前に社会人になりました。
当時はバブル景気の終盤ではありましたが市場はまだまだ活況を呈していました。
大手企業が安定的に経営を進め従業員は会社に属することに誇りを覚え、自然と価値観を共有しているように感じていました。
年功制の強い人事制度が当たり前であり、定年まで同じ会社で働くことを前提に人生設計が可能であったと思います。
働く目的は、その会社の中で成長し昇進することを大多数が望んでいました。
では、現在はどうでしょう?
どのくらいの人が、生涯同じ会社で働こうと思っているでしょうか?
恐らく、ほとんどの人はキャリアを積んで、自分にとってさらに大きな舞台を目指そうと考えているように思います。
この要因は、企業を取り巻く働き方の環境変化によるところが大きいと考えています。
ご存知のように、創業100年を超えるような老舗企業やかつて世界を席巻したハイテクメーカーが業績を悪化させ希望退職や成果主義的な競争の制度を導入する事態が続いています。
産業のグローバル化が主な要因となって、企業は生き残るために必死なのです。
そのしわ寄せは従業員にまでおよび、安定した将来設計が困難になっていると言えます。
このため、多くの人は自らの価値を高め、会社を辞めても他で認めてもらえるキャリアを得ようと考えているのです。
しかしながら、企業のマネジメント層には自分の若い頃の成長パターンしか思い描けず、部下が求める能力開発をさせていないケースが散見されます。
これからのマネージャーには、大きなテーマが2つあると考えています。
1つ目は、前述したように部下の個別キャリアを考えた育成です。
会社から与える役割に必要なスキルと、部下が得たい能力をどのように一致させるかということです。
完全に一致させることはなかなか難しいですが、役割を認識させて合理的に目標に対するコミットをしてもらえるような信頼関係を作る必要があります。
2つ目は変革を進める力です。
マネージャーは同じ仕事のやり方をただ続けていたのでは全く評価されません。
社会と調和した健全な会社の発展を考え、そのための自分とメンバーのあり方を描くことが重要なポイントです。
IT化(バーチャルDXなど)の進展は世の中を便利にした反面、人の行動機会を抑えているように思います。リスクを伴う行動を避け傍観者でいたり、面倒な業務につながる変革は回避したりする傾向があるのではないでしょうか。
その結果、自分の損得だけで判断することが増えていると考えます。
DXの時代こそ、リアルに主体性をもって変革に挑むことが求められ、併せて、周囲への関わり方も重要となり今まで以上に、相手を尊重して話を聴き、共感し高め合うことが不可欠になります。
事実、我々の仕事でもオンライン研修の比率が高まる一方で、意見をぶつけ合う機会を研修に求める声が増えています。
最近、人事の分野で流行っている「心理的安全性の高い職場」とは、決して「生ぬるい空気の職場」ではありません。自らが考えて挑戦し新しい流れを作ることを促進できる積極的な職場のことを示します。なぜなら挑戦を認める土壌がなければ、安心してトライなどできないからです。
ルールで縛る旧来の管理方法を徹底し、失敗の原因ばかりを求めて叱責していては、人はどんどん離れ、組織が弱体化することは必然です。
「秩序と安定」から「目標と変化」に着目した考え方にマネージャー自身が変わることができるか問われていると思います。
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