講師コラム
管理者のための「任せる技術」(講師 足立泰政)2022/12/07
古典的な管理論において、A.ファヨールが1916年に著した「産業ならびに一般の管理」
という著作の中で、「反復的に生じる問題の決定や処理は、…(中略)…部下に任せるべきである。」とあります。
上司は、ルーティンの仕事はメンバーに任せ、自分自身は重要な問題や非定型の問題に対しての意思決定にのみ重点をおくとされています。
1950年代になると、MBO(Management By Objectives and Self-control,目標と自己統制による管理)すなわち「目標によるマネジメント」という考え方が一世を風靡しました。
ここでは、「メンバーに目標を納得させた上で達成までの活動をメンバー自身に任せる(自己統制)ことが望ましい」と言っています。先ほどの古典的な考え方より任せる範囲が一気に広がりました。
その後モチベーション論の流れの中で、E.L.デシ&R.フラストの「内発的動機づけ論」では、「適切に任せることによって部下の『自己決定感』を高めること、任せた後は適切な進捗管理を行う中、ポジティブなフィードバックによって『自己有能感』を与えることが重要である」と述べています。
「任せる」ことがモチベーション・アップの手段となったとも言えるでしょう。
現在、多くの企業では、その使命と目指すもの、事業を取り巻く環境、そこで働く人の目的や働き方、など多様な状況に直面しており、そこでは「自律自走」できる組織や社員が求められています。
このような場面で、先の考え方を踏まえたうえで、
1. 任せる相手の役割に応じて、範囲や権限を明確にしておく
2. 任せる仕事に対する目標の設定と達成までの過程に強く関わる
3. 彼・彼女たちが、自らを動機付けられるような任せ方をする
ことが、私たちがメンバーに「任せる」ポイントになります。
「任せる」という技術を使ってマネジメントすることが、第一線のマネジャーに、今、求められています。
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