講師コラム
ロジカルシンキング~良いコミュニケーションの必須条件~(講師 今岡 伸一)2023/02/01
~KBP講師が人事担当者様・ビジネスパーソンの方々へ役立つヒントをお伝えします~
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日常会話において、「あれ、やっといて」「うん、わかった」というやり取りで、誤解なく意思が伝わり、適切な行動ができることがあります。長年の付き合いがあれば、お互いに相手を理解していて、詳細な説明を必要としないわけです。
しかし、一般的には、言いたいこと(結論、主張)を正しく理解してもらうためには、ロジック(論理)が必要になります。
数学では、公式にあてはめることで、正解(結論)を求めることができます。
たとえば、ある図形が円であり、その半径が10㎝であれば、その面積は約314㎠になります。
そこには、公式(面積=半径✕半径✕円周率)という絶対的な論拠が存在していますので、データ(図形が間違いなく円であること、半径が正確に10㎝であること)が正しければ、結論も正しくなります。
論理性を確認するために必要なことは、データ(情報)の正しさとそのつながり(論拠)の正しさです。
しかし、一般社会(ビジネスや社会生活)では、数学のようには導けないことが多く、どのデータを使って、どんなつながりで展開するのかを工夫する必要があります。
まず、前提となるデータ(情報)について考えると、世の中には嘘や捏造したものもあれば、不確実あるいは曖昧なものもあります。さらに、主観的なもの、定性的なものは、その解釈により差が生じます。
デマや風評などによって、事実とは異なる主張が行われ、世の中に影響を及ぼした事例はたくさんあります。コロナ禍においても、様々なデマが流され、それを信じた人に悪影響を与えました。特に、不安や混乱などの環境下では、怪しい情報を信じやすくなります。
データは事実で確かなものであっても、それを結論に結びつけるための論拠が弱いと、論理性も弱くなります。数学のような公式があれば良いのですが、一般的には、法律や規則などのルール、経験や慣習、道徳心や倫理感、などが用いられます。しかし、その解釈は一様でなく、必ずしも客観的な論拠にならない場合もあります。
また、論理展開には、さまざまなパターンがありますので、状況に応じて選択します。また、どのデータを使って、どの論拠にしたがって、結論に結びつけるのが最も効果的であるかを考えます。
ロジカルシンキングでは、思考のプロセスを学び、データおよび論拠の選び方・信憑性の確認を行って、相手の納得を得ることにつながります。
反対に、相手の説明に納得できない場合は、データの出所や信憑性、論拠の正しさを確認することで、論理性を疑い、説明してもらうと良いでしょう。どこかに矛盾があれば、結論は成立しなくなります。
また、相手の理解力や専門性を考慮して、難解な用語や言い回しを避け、できるだけ平易なことばを使い、結論までのつながりをわかりやすく説明することも重要です。
例えば、小学生に「なんで、お野菜の値段は、上がったり下がったりするの」と聞かれて、「それはね、需給バランスの関係で、供給過多になると安く、需要超過になると高くなるんだよ」と説明しても、わかってもらえません。
「トマトが8個あって、5人が1個ずつ欲しいと言うときは、みんな買えるね。でも、他に買ってくれる人がいないと、余った3個は腐るので、値段を下げてでも売りたいよね」「反対に、トマトが3個で、5人が欲しいと言うと、足らないね。5人とも買いたいので、ケンカになるかもしれないけど、お店が値段を高くすると、それでも欲しい人が買うかな」「これでわかったかな。買う人より売るものが多くなると値段が下がってきて、少なくなると上がるんだよ」と説明すれは、理解してもらえると思います。
ロジカルシンキングは思考展開の基本だけでなく、良いコミュニケーションの必須条件でもありますので、チーム活動をうまく進めるために役立ちます。
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