● ビジネス感覚があれば、アメリカの大学の運営はわかる
── アメリカの大学のシステム、運営など、いろいろお伺いしたいと思いますが、どこからお話いただくのがよろしいでしょうか?
■ マツモト先生 アメリカの大学を知るには、極端な話、ビジネス感覚をもっていれば、様子はわかります。大学もビジネスですから。大学の目的は、もちろん学生の教育にあります。でも、はっきりいって、運営資金を増やさなければ、教育も向上させることはできません。そうすると、ビジネスとして運営するための revenue (歳入、収入)を増やさなければならない。その内訳は大雑把にいうと、
(1)まず student fee。つまり、授業料です。
(2)州立大学の場合、州からの revenue。
(3)それに、寄付金があります。これは大きなビッグビジネスですよ。
(4)さらに、近年では、research grant (研究助成金)を重視する大学が多くなっています。
── 寄付金や research grant は、全体のなかで大きな比重なのでしょうか?
■ マツモト先生 大学によって差はありますが、ハーバード大学、スタンフォード大学など私立大学には、寄付金を集めるために、大勢の常勤の担当者(development officers ということが多い)がいます。ハーバード大学の寄付金などを蓄積してきた運営費は、約349億ドル(2007年度・約4兆円)、年間の寄付金は約800億円にもなります。2位のイエール大学の2倍にもなる、群を抜いた額です。
スタンフォード大学には Stanford Foundation(財団)があり、常勤以外の関係者一同が寄付金集めに協力しています。
私どもの San Francisco State University にも、4720万ドル(2008年)もの寄付金が入ってきます。
Research grant については、次項で説明しますが、近年、ますます注目されている revenue になっています。大学と教員との契約によって、教員の研究によって生じる特許料とか助成金などです。
