● Humintell 社の設立とその製品

── MiX を主力に販売中 ──

── 社名の由来を教えていただけますか?
■ マツモト先生 Human intelligence にかかわる仕事にはいろいろな種類があります。
 大きく分ければ、ソフトインテリジェンスとハードインテリジェンスがあるわけです。
 ハードインテリジェンスというのは、この一帯にはビルが何棟あるかとか、そこにはトラックやバンがあるかというハードにかかわることを指します。
 いっぽう、ソフトインテリジェンスとは、人間から得たファクトで、Human intelligence というわけです。
 政府機関にも Human intelligence とか、Human のついた division があります。それで Human intelligence を短くして Humintell (ヒュムインテル)という名称を社名にしました。

── 現在、販売されている商品をご紹介いただけますか…。
■ マツモト先生
(1) ミクロ表情認識オンライン・トレーニング(MiX)(マツモト・メソッド)
(2) 異文化適応テスト(ICAPS-55)
(3) 危険行動探知法テスト(DDD)──特許出願中
  現在、いちばん力を入れているのは(1)のMiX という商品です。


● いまなぜ表情に焦点を当てるのか

─「マツモト・メソッド」の開発 ─

■ マツモト先生 言葉以外であらわす「非言語行動」は、コミュニケーションの重要な要素になっています。なかでも、エモーション(感情)を秘めた顔の表情は、人間のもっている最も重要な複合的な通信システムなのです。
 顔の表情にあらわれるエモーションは、いったいいくつあるでしょうか? 実は、近年の研究によって、人類に共通する顔の表情のエモーションは、つぎの7つであることが判明したのです。
 ①喜び(joy)、②悲しみ(sadness)、③恐怖(fear)、④驚き(surprise)、⑤怒り(anger)、⑥軽蔑(contempt)、⑦嫌悪(disgust)
 しかもこれらは人種・民族・文化・年齢・ジェンダー・宗教を問わず、普遍的なもの、いうなれば、世界共通で、まったく同じにあらわれます。

── この分野の研究はどのような歴史をたどってきたのでしょうか?
■ マツモト先生 実は、現在の普遍性の理論をはじめて提示したのは、ほかでもないチャールズ・ダーウィンでした。今から100年以上も前のことです。
 その後、1960年代までは、心理学では、最新理論とは正反対のものが定説になっていました。つまり、顔の表情にあらわれるエモーションは、言語と同じように、文化特有のものだとされていたのです。
 1962年に S・S・トムキンズがダーウィンの説を再検証しはじめ、私の恩師・ポール・エクマン(カリフォルニア大学サンフランシスコ校名誉教授)が協力、その後、私もフィールドワークに参加し、今日のこの定説が確立しました。
 50年近い革新的な研究開発の末、この行動科学の最新の到達点と現実世界の実務的な経験を結びつけたわけです。
 その結果、ユニークなトレーニングによって、エモーションや非言語行動を含む顔の表情から相手の偽善を突きとめたり、異文化に適応できる道を開いたのです。
 しかも、上記に紹介した7つの顔の表情のエモーションは、2分の1秒から15分の1秒という、ごく短い間に表出されます。これらを的確に捉えれば、
 ① 相手がうそをついているのか、
 ② 相手がどう感じているのか、
 ③ 相手に与えている衝撃
を瞬時に解明できるようになります。