● HRの役割
GEでは単に人を育てるためではなく、コミットしたことを達成するために、あるいはその過程を通じて人を育てているのです。
我々は、勝つことへの執念が非常に強い。だから「最高の結果を出すために人材をどういう状態にしておけばいいのか」が人材マネジメントで、人事の役割なのです。だから人事は、トレーニングや人の評価をしているだけではダメ。結果につながっていないと付加価値をつけたとは認められません。
必ずビジネスレビューの場に一緒に入り、メンバーのリーダーシップ、チームワーク、あるいは個人の力量を診て、問題があれば指摘をし、アドバイスやコーチングをする。すべては組織が最高の結果を出すためにです。
人事の役割は、制度をつくったり、人の異動や評価をしたり、トレーニングを提供することだと思われがちです。もちろんそういうことも必要ですが、最も大切なことは、我々は人を通じてビジネスの結果を出すことに役に立っているのか、ということです。私を測るメジャーメントは、私がいるビジネスが、ビジネスとして目標を達成したかどうかが第一で、人とのかかわりの中でどれだけそれに貢献できたかです。
HRのフレームワーク
GEではHRマネジメントには5つのフレームワークがあると考えています。まずはHRとしての専門性「HR Experts」。社員を代弁・啓蒙したり、いい人材を採用・配置することを意味する「Talent Champions」。事業を把握し、目標達成のためにHRとしてサポートしていく「Business Partners」。4つ目が、組織の状況を診断し、リーダーたちにアドバイスする「Organization Coaches」。リーダーも完ぺきではないので、あらゆる局面で組織をよくしていくために、リーダーたちに助言をしていかなければなりません。GEでは人事の一番大切な機能の一つがPush-back (間違いと思うことに対してNoということ)だといわれています。そして最後に人事部門は、Change Leadersでなければなりません。多くの会社で人事は抵抗勢力だとみなされていますが、GEでは人事は率先して変革をリードしなければなりません。変化をドライブするのも抵抗するのも人ですが、人を相手に仕事をする人事だからこそ、一番に変化を実践していかなければならないのです。新しいバリューを提案するのも、それを徹底するのも、実践するのも常に私たちの仕事です。GEでは様々なInitiative(戦略的構想)が展開されますが、すべてにわたって社員を巻き込んでドライブしていくことが我々の役割と自認しています。