人材育成モデル

 GEは、30万人の組織の上にCEOがいます。ジャック・ウェルチもジェフリー・イメルトもCEOになったのは45歳の若さです。45歳ということは、25歳で入社したとして、20年ちょっとしかないわけです。一般的に一つのポジションに3年いると考えると、7回程度の異動でトップに昇り詰めることになります。タフな経験を経て、チャレンジしながら相当なスピードでCEOになっていく感じがお分かりいただけるでしょう。
 GEではリーダーを早期に育成するため、各ファンクションに「リーダーシップ・プログラム」を設けています。これは2年のプログラムで期間中に3つないし4つのアサインメントを経験しますが、ひとつひとつのアサインメントが内容の濃いもので、普通なら4~5年分の仕事を2年で体験するようなイメージです。さらに優秀者にはCorporate Audidt Staffと呼ばれるプログラムがあって、若い人材を鍛え上げ、プログラム終了後には相当に高いレベルのポジションを掴み取ってもらうことを期待しています。

GE評価方式「9-block」

 GEの評価方式は「ナインブロック」と呼ばれています。パフォーマンスとバリューで評価した9つのブロックのどこに入るかを毎年評価します。パフォーマンスとバリューをそれぞれ縦軸と横軸にして、それぞれを期待以上、期待通り、期待以下の3段階に評価して9つのブロックの中のどこにいるかで人材を総合評価するのです。両方の評価が高いと高い確率でプロモーションの対象になり、報酬にも反映されます。また、リーダーシップ研修への推薦の可能性も高くなります。
 この評価のベースになっているのがオペレーションレビューです。我々はコミットしたことに対する結果を求めますが、そのためには組織の構成員一人一人が期待通りの結果を出す必要があります。部下が最高の実績を出すためにコーチし、アドバイスし、徹底的に鍛えます。期待以上の結果を出せる人にはさらにストレッチして、より高い目標を与えていく。このプロセスがあるからこそ、人材を9つのブロックに分けることも難しくないのです。
 いずれにしても、変革、実行、インテグリティをタレントの評価の基本としていて、人材育成と業績の向上が重なり合ったモデルとなっています。