● グローバルに通用するリーダー
我々は特別にグローバルリーダーを定義しているわけではなく、GEらしいリーダーを育成することがグローバルに通用するリーダーを育てることだという考え方です。グローバルリーダーとは、単に英語が堪能であるとか、外国のカルチャーを理解しているということではなく、GEの成功モデルを世界に広めることのできる人材なのです。日本の会社でもグローバルに成功されている会社は、その会社の成功モデルをしっかりと持っていて、それを世界共通のモデルとして実践されている会社だと思います。
世界で共通のやり方をもって展開しているから、国を超えて業績などの比較もできるし、みんなが共通の意識を持って議論ができる。どこかの国でやっている良いことがあれば、世界中で真似してしまう。それが容易な会社、とても効率がよく、組織が一丸となって行動できる会社なのです。
日本人がグローバルで存在感が低いのは……
グローバルな会社であるGEで働いていますと、日本人の課題が見えてきます。GEでは「勝ち」の定義がはっきりしています。GEでは売り上げと利益の成長が「勝ち」で、結果を出すことに対するこだわりがきわめて強い。一方、日本の会社では、必ずしも究極的に何を求めているのかがはっきりしないことが多いように感じます。ある時は成長ですが、時に雇用だったり、シェアだったりという風に、です。また、グローバルな競争を勝ち抜くためには、年齢や性別に関係なく最強の人材を活用すべきですが、どうしても年功的な要素を残してしまい、人材の最適配置ができていないように見える。グローバルな会社では世界から日本を見るような視点が必要なのですが、日本から世界を見てしまっている。言い換えれば、会社としてあるべき姿を描いて、それと日本とのギャップを見つけ、そこを埋めていくというのがグローバルな経営だと思うのですが、日本を基準にしてほかの国を見て、日本を特別扱いすることを求める。日本は特殊だという人がいますが、その考え方は、問題の本質的解決を避ける言い訳だと思います。人事に関していえば、インドやオーストラリアのほうがよっぽど特殊だと思えるのですが。
日本が特殊だということは、Japan is a black boxと言っているようなものであって、ブラックボックスに投資しようという人はいません。私は、「GEという視点から日本を見たときに、どこがおかしいのかは、日本人である我々が一番よくわかるはず。そこで、おかしな点に気づいたら、気づいた人が問題解決していく。日本人である自分が直していく。一番良く分かっていた人が問題を解決するようにすれば、我々に任してもらえるのだ」とよく言っています。
